中医学のじかん#2| ”気” って結局なんなの?について私なりに答えてみました
今回はお話しするテーマは ”気” について。鍼灸や中医学を話す時に必ず出てくるキーワードですが、結局これってなんなの?の疑問に答えてみます!西洋医学にはない考え方なので理解しづらい概念ではありますが、実はほとんどの人が日常からこの ”気” を見たり感じたりしているものなんです。
その前に、中医学は一定の概念はあるものの、答えはいつも一つとは限らない学問だと思ってます。治療する側として、その人がどんな患者さんに会って、今までどんな経験をしてきたかによっても考え方に違いがあるのは当然です。なのでここではいち私の考えをまとめられたらと思います。では早速いってみましょう!
”気”ってなに?
中医学では”気”はあなたが食べたもの(栄養)と肺に取り込まれる空気(酸素など)=呼吸からできると考えます。そしてそうしてできた気はからだ中を巡り、臓器を強く保ったり、体の外側から悪者(ウイルスなど)が入ってこないように体を守ってくれています。なので、栄養のバランスが取れた食事をし、肺の機能を強く保つことがいい気を作るのに必要なんです。
また気は生命活動を担っています。言い換えれば生きるためのエネルギーってところかな。人間の体を蒸気機関車で例えてみると、水と石炭があなたが摂取する食事。機関車を動かすためにはそれらを燃やす必要がありますね。燃やすためには十分な熱と酸素が必要で、それが私たちが持っている代謝です。そして蒸気が出てやっと機関車が動きますよね。この蒸気にあたるものが”気”と考えられます。蒸気機関車を動かすために蒸気が必要なのと同じように、私たち人間も生きるために”気”が必要なんです。
”気”そのものは見えない
冒頭で『日常からこの ”気” を見たり感じたりしているものなんです』と言っておきながら裏切るようですが、”気”そのものは見えないと思っています。でもこれも人によって見えるという方もいてるみたいなので私はその意見も肯定です。私もそんな能力があればいいのに笑。
でも基本的には気の流れだったり、オーラのようにその人の気の強弱がふわふわと見えるものでもないです(少なくとも私は)。でも治療をする時、その人の舌の状態、脈拍の質、目、肌の質、声、姿勢や態度などを通してあなたの”気”は今どんな状態かを見たりします。もちろん見るのは”気”だけではなく全てを見ます。
ということは、外側からの目に見える情報(舌の状態、脈拍、目、声など)があなたの体内で起こっている状態(気の状態を含め全ての状態)を映し出していると言うことです。中医学のドクターはそのようにしてあなたの体質や健康状態を見ていきます。
普段からみんなも”気”を見てる?!
スーパーでピーマンを買うならどっちを選びますか?ほとんどの方が右のピーマンを選ぶはずです。なぜでしょうか?活き活きして新鮮だから?青々しているから?この2つの写真はかなり極端な例だったかもしれないですが、できるだけ元気で栄養価が高そうで新鮮な食材を選びたいですよね。この『活き活きしていておいしそう!』がという感覚がまさに植物の持つ”気”を見ているということなんです。
決してしわしわなピーマンがダメとは言ってません。ですがここで伝えたいのは、中医学や”気”の概念に慣れ親しんでなくても、私たちはその食材の持つエネルギーみたいなものを自然と選んでいるんだよってことです。
私たち人間も同じで、目に輝きや元気がなかったり、顔がうつ向き気味で声にハリがない状態の人を見た時、『どこか具合が悪いのかな?』とか、『なにか嫌なことがあったのかな?』とか思うはずです。そして、日本語には気持ち、気遣い、気の流れ、気が合う、気が抜けない、気が短い、気分がいいなど、“気”を使う言葉がたくさん存在しています。それだけ私たちと昔から深い繋がりのある考え方で、気を感じながら私たちは生きているんです。
今回は中医学を語る上で切っても切れない”気”について私なりの考えも踏まえてまとめてみました。先ほども言った通り、”気”は食べた物と呼吸からできています。一食一食を大切にして、たまにはリラックスして呼吸をする時間を作ってみてください。それが昔から変わらない健康の秘訣です。